レンタルオフィス、シェアオフィス、コーワキングスペースの違いとは?
2022年1月5日
目次
オフィス形態の変遷
Covid-19や働き方改革関連法案の施行が進み、人々の働き方が変化していく中でオフィスの在り方というものもまた変革のタイミングに差し掛かっています。
環境や人々の働き方の変化に適応する為、オフィスそのものも変化するものなのです。
働き方に大きな変化が訪れた現代では、高度経済成長期に流行した『カスタマイズ性・デザイン性の高い自社オフィス』という考え方に相反するような、自社ビル・自社フロアを持たない企業も出てきています。
そこで利用されているのがレンタルオフィスやシェアオフィスといった施設なのです。
18世紀イギリスのカフェの寄合が発祥とも言われているオフィスの原点に近い形態が流行しているとも言えるでしょう。
一部上場企業や新進気鋭のベンチャー企業もレンタルオフィスやシェアオフィス等の利用を拡大している中、いまいちそれぞれの違いが判らないという方も多いのではないでしょうか?
今回は運営者である我々がレンタルオフィス、シェアオフィス、コーワキングスペースの特徴を説明しながらそれぞれの違いについてわかりやすく紹介します。
レンタルオフィス・シェアオフィス・コワーキングスペースの違い
レンタルオフィスとは?
自社ビルを所有していない場合、企業は一般的な賃貸ビルに入居することになります。その際の賃料は賃貸面積や契約期間によって所有者(または管理会社)と協議の上決定されますが、実際にオフィスとして稼働させるためには内装工事や什器を用意する必要があります。
そんな内装工事や家具の準備などの手間を省いたものがレンタルオフィスなのです。
内装工事の必要がない
通常の賃貸ビルは多くの場合、居抜きまたはスケルトンの状態で引き渡されるため、自社の働き方に最適なオフィスにするためには内装工事を行う必要があります。内装工事は10〜30万円/坪と言われており、10名程度のベンチャー企業だとしても、数百万円はかかってしまうものなのです。
レンタルオフィスは事前にレンタルオフィス運営者によって内装工事が施されているため、インテリアにこだわりがない場合、内装工事にお金をかける必要がなく、インテリアを少し変更したい場合でも壁紙やカーペットなど多少の変更を加えるだけでよく、初期費用を大幅に削減することができます。
什器を用意する必要がない
内装工事費以外に初期投資が必要なものとしてオフィス家具があります。
オフィスワーカーにとって、デスクやオフィスチェアは重要な商売道具の一つです。
Texas大学Health Science Centerや健康、医療コンサルティング会社であるHealth & Work Outcomesによって実施された研究によると高機能エルゴノミクスチェアを使用したグループはそうでないグループに比べて、生産性が17.8%も上昇したとの結果が出ています。(Leapチェアの生産性と 健康への影響に関する 研究レポート)
ただ、自社で高機能なデスクやオフィスチェアを購入すると、少なく見積もっても一人当たりおよそ5〜10万円の費用がかかってしまいます。
その点、レンタルオフィスは内装工事に加え、働く上で快適なオフィス家具も事前に準備しています。
レンタルオフィス運営者はその賃貸スペースの契約期間が終了したり、家具が古くならない限り、家具の廃棄や移動の必要がありません。その為、一般的な賃貸オフィスを賃借する場合と比較して高価なオフィス家具を導入することができるのです。
結果的にレンタルオフィスを借りる事業者は初期費用としてオフィス家具の購入費を直接負担することなく高機能なオフィス家具を利用することができるのです。
契約期間に縛られにくい
一般的な賃貸ビルを借りる場合、多くの場合契約期間が少なくとも2〜3年以上となっている場合がほとんどでしょう。それは先述の通り、退去の際に賃借人が施した内装工事の原状回復をしたり、オフィス家具の使用による傷などを直す必要がある為、所有者が退去時に時間とお金をかけなくてはならないからです。所有者は、できるだけ長く入居してもらうことで、賃借人変更の際のコストを下げたい・入居者応募にかかるコストを抑えたいと考える為、リスクを下げるために契約期間を長めに設定するのです。
対照的にレンタルオフィスの場合、通常の使用方法ではほとんど原状回復にお金がかかることがなく、清掃費用だけで済んでしまう場合が多いので、次の入居者を募集するまでの期間が短く済むだけでなく、運営者が負担する金額も少なく抑えられることが多いのです。
その為、多くのレンタルオフィスでは賃貸条件によって契約期間の定めが1年未満でも契約可能な施設が多く、成長過程にあるベンチャー企業や業務委託契約者が多い企業などの、人数の増減が多い企業にとっては非常に利用しやすいものとなっている場合が多いでしょう。
シェアオフィスとは?
シェアオフィスは、実はレンタルオフィスとの明確な定義の違いはない場合も多く、先述したレンタルオフィスの特徴を備えている施設がほとんどです。
多くのレンタルオフィスとシェアオフィスの違いは”シェア”するスペースの有無にある場合がほとんどです。
その名前の通りシェアオフィスは他の入居者と様々なスペースをシェアしており、共用部が充実していることがウリになっているオフィスも多くあります。
一般的な賃貸ビルでも、エントランスやエレベーターホール、階段などが共用部として提供されていますが、シェアオフィスの場合はその他にも様々なスペースが共用部として提供されています。
会議室が用意されている
一般的な賃貸ビルやレンタルオフィスの一室を借りた場合、顧客との商談のための会議室スペースを新たに内装工事によって設置するか、その都度貸し会議室などのスペースを借りる必要があります。
会議室をフロア内に設置する場合、その分執務スペースが狭くなってしまうため、結果的に一人当たりのオフィス賃料も高価になってしまいます。また、その都度貸しスペースを借りる場合も、利用料金がかかってしまいますし、何より顧客を毎回違う場所に連れて行くのはあまりいい印象を持たれないでしょう。
シェアオフィスには入居者が利用できる会議室スペースが用意されていることがほとんどです。オフィスによって利用方法などは様々ですが、商談をするには十分なスペースが用意されているでしょう。
また、これらの会議室はシェアオフィスの共用部の一部なので執務スペースを圧迫してしまうことはありません。さらに、一般的な賃貸ビルに会議室を設置した場合、使用していない間は無駄なスペースになってしまいますが、シェアオフィスの会議室は他の入居者とシェアしているため、会議室にかかる料金やスペースを分割できているようなものなのです。
テレフォンブースが設置されている
皆さんはこのような経験はないでしょうか?顧客との重要な電話をしたいけど、周りに作業や会話をしている人がいるせいで集中できない、相手先との会話を同僚に聞かれたくない。また、締め切りに追われている作業があるにもかかわらず、同僚が大きな声で電話している為、なかなか作業に集中できないなどの電話に関わるトラブルです。
執務スペースは基本的に、個人の作業を進めたり、社内の同僚とコミュニケーションをする場です。
現代の仕事のほとんどは電話対応が必須になっていますし、携帯電話が普及してからはより一層その傾向が強まっています。なので上記のようなトラブルはますます増えていると考えられるでしょう。
多くのシェアオフィスではテレフォンブースや電話対応用の部屋が設けられており、周囲を気にせずに電話に集中することができます。これは電話をしている人だけでなく、執務スペースで作業している人にとっても、執務スペースが集中できる環境に保たれていることで邪魔が入らずに自分の作業を進めることができるのです。
シェアオフィスに設置されているテレフォンブースは無料で利用できるものがほとんどなので、利用料金などを気にせずにどんどん使うことがきます。
また、近年テレワーク化が進んだ影響でWeb会議が浸透してきています。シェアオフィスに設置されているテレフォンブースには1人用のデスクやオフィスチェアが設置されていることも多く、1時間を超えるWeb会議の際も快適に利用できるよう配慮されています。
豊富な付帯サービスが用意されている
シェアオフィスの場合、一般的な賃貸オフィスにはない特別な付帯サービスが用意されている場合があります。いくつか例を挙げると、受付対応や配達対応のサービスです。
自社オフィスの場合、来訪者のためにベルや電話、受付アプリなどを設置する必要があります。
その為、余分な料金がかかってしまったり、なにより来訪者用の待合スペースを設ける必要がある為、こちらも執務スペースを圧迫してしまう一つの要因となるのです。
一部のシェアオフィスでは、受付対応のサービスが提供されており、運営者が受付の一時対応を行う為、余計な時間を取る必要がなく、自社で特別な受付対応オペレーションを用意する必要もないのです。また、この受付スペースはシェアオフィスの共用部として提供されているため、執務スペースを圧迫することも、来訪者を狭い待合スペースで待たせることもありません。
コワーキングスペースとは?
シェアオフィスがそれぞれの入居企業の個室執務スペースと入居者同士のシェアスペースがあるのに対し、コワーキングスペースは全てシェアスペースで構成されているものをいいます。基本的には専用の固定席がなく、空いているデスクで自由に仕事をするフリーアドレスなワークスペースです。
カフェや図書館などの公共の施設で仕事をするイメージに似ていますが、あくまで仕事のためのスペースなので、それらの公共施設よりワークスペースとして洗練されている場所がコワーキングスペースなのです。
ネットワーク環境が整備されている
先述のシェアオフィスや一部のレンタルオフィスでは運営者が事前にネットワーク環境を整えており、入居者がネットワーク費用を直接負担したり、開通工事を定配する必要はありません。
コワーキングスペースについても同様で、運営者が入居者に向けてネットワーク環境を提供しています。
近年はカフェなどの施設でもネットワーク環境が整備されている場合が増加していますが、あくまでネットワークの一般利用を想定している為、通信速度が遅かったり、利用人数が多い場合は回線が安定していなかったりとワークスペースのネットワーク環境としては不十分な場合も多いです。
しかし、コワーキングスペースはそもそも仕事をすることを目的とした場所なので、ある程度の重たい作業でも安定して利用できるネットワーク環境が整備されていることがほとんどです。
コミュニケーション促進の場を提供
コワーキングスペースはその特性上、自社社員だけでなく、他社社員とのコミュニケーションが生まれる可能性が非常に高いといえます。フリーアドレスで作業スペースを共有しているだけでなく、シェアオフィスと同様にラウンジや休憩スペースなども完備されている施設が多く、他者との交流が生まれやすい作りになっている。
また、運営者が施設内でのセミナーや交流会といったイベントの形でコミュニケーションの場を提供していることも多く、ビジネス創出の場所として活用されているケースも多いでしょう。
それぞれのオフィス形態の良いところを備えたオフィスとは?
これまでレンタルオフィス、シェアオフィス、コワーキングスペースそれぞれの特徴を紹介しました。
簡潔にまとめるとレンタルオフィスは家具付きの賃貸オフィス、シェアオフィスは他社と共有のスペースを持った、無駄の少ない賃貸オフィス、コワーキングスペースは固有のスペースを排除した公共の仕事場と言い換えることができるでしょう。
また近年では、シェアオフィスとコワーキングスペースの両方の特徴を持った施設も多く、両者のいいとこ取りができる施設も増加傾向にあります。
私たちAND SPACEが運営している「VENTURE MAFIA」では、シェアオフィスとコワーキングスペースの複合型施設であり、両者の特徴をどちらも備えています。
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