オフィス移転のタイムスケジュール | 時期別にやるべきことを紹介
2022年4月28日
オフィス移転は、住居の移転とは違い事前に決めておくことや、実施する作業が多く、複雑になります。オフィス移転を経験していない企業にとっては、思わぬ見落としや確認漏れが発生しがちです。移転先を決めたり、解約通知を出す前に、入念に移転計画を練ることが、そのような見落としを防ぐことにもつながります。
本記事では、オフィス移転を行う際に必要な作業を洗い出しつつ、移転日までのスケジュールを詳細に解説します。オフィス移転を検討中の方は、本記事に沿って移転計画の策定を進めていってください。
目次
オフィス移転のタイムスケジュール
オフィスの移転計画を決める際には、およそ1〜2ヶ月単位でやるべきことを整理する必要があるでしょう。なぜなら、オフィス移転に関する必要事項の多くは完了までに数ヶ月を要することが多いため、住居の移転などに比べても、相当前もって準備しておく必要があるからです。
オフィス移転にかかる期間は 6~8 ヶ月
住居の移転の場合、更新日のおよそ1〜2ヶ月前までに退去を通知し、新しい住居先や引越し業者を決めるスケジュールで十分な転居期間を確保できますが、オフィス移転の場合、およそ6〜8ヶ月前から移転に向けて準備を進める必要があります。
次項から移転日から逆算して、それぞれの時期別にやるべきこと、確認すべきことを整理して紹介します。
【時期別】オフィス移転でやるべきこと
オフィス移転の際には準備するべきことが多岐にわたるため、引越し業者や工事業者、行政などさまざまな機関と連携しながら進める必要があります。事前にどの項目はどこと連携しながら進めるべきかもあわせて整理することが必要になるでしょう。
では実際に一般的なオフィス移転のスケジュールについて紹介するので、自社の場合はその作業を誰と連携すべきかを整理しながら読み進めてみてください。
6 ヶ月以上前にやるべきこと
先述の通り、オフィス移転は住居とは違い、半年以上前から移転計画を練る必要があります。
具体的にはどのような作業が発生するかみてみましょう。
|オフィスの移転先選定
まずオフィスの移転を検討するにあたって、新しいオフィス、つまり移転先を選定する必要があるでしょう。
多くの場合は、現状のオフィスに対してなんらかの不満があって移転を検討するでしょう。まずは現状のオフィスの課題を解決できる物件情報を収集し、移転先候補を選定することから始めましょう。金額面やスペースを重視することはもちろん、今後のブランディングも考慮して、立地やビルの外装なども意識すると良いでしょう。
物件情報収集の際は、Webサイトだけでなく、オフィス移転に強い不動産仲介会社に協力を仰ぎ、アドバイスを受けながら物件の内覧等を調整してもらいましょう。
|現オフィスの契約内容確認
移転先の契約や現オフィスの解約の前に、現オフィスの契約内容をしっかり把握することが重要です。
主に確認すべき点は以下の2点です。
・解約を予告すべき時期
オフィスを退去する場合、入居時の契約によって定められた解約予告の時期までに、退去の意思を貸主に通知することが義務付けられてることがほとんどです。一般的には、退去日の6ヶ月前までの告知を契約で義務付けられている場合が多いですが、契約書を確認のうえ、移転希望日から逆算する必要があります。
・敷金の返却
多くのオフィスでは、入居時に賃料の◯ヶ月分といった形で敷金を貸主に預け入れています。オフィス契約時に預け入れた敷金はオフィス退去後にすぐに戻ってくるわけではありません。預けている敷金が返却されるのは、原状回復などの全ての工程が終了した、つまり賃貸借契約終了後の3~6ヶ月後ということが多いのです。
また、敷金はその全額が返却されるわけではありません。原状回復費と償却分が差し引かれて返却されます。原状回復費とは、オフィスを入居時の状態に戻すための費用です。内装に大掛かりな工事をしている場合は、入居時の状態に戻すのに大きな金額がかかるため注意が必要です。
また、大規模な内装工事を行なっていない場合もクリーニング費用などはかかる場合があるので、注意しましょう。
償却は、入居の際に契約書に「償却◯ヶ月」等の記載がある場合に適用され、退去の際には賃料の◯ヶ月分は敷金からあらかじめ差し引いて返却しますという意味を表します。
契約終了時にいくら返却されるかを理解して移転計画の策定を進めましょう。
|移転コスト試算
移転計画策定を進めるにあたって、移転にかかる費用を試算しましょう。オフィス移転にかかる費用はおよそ一人当たり20~50万円程度と言われています。詳しい試算方法や、移転費用の項目について知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。
6 ヶ月前にやるべきこと
移転予定日の6ヶ月前になると、具体的に現オフィスとの退去交渉や移転先オフィスへの申し込みなどが発生します。ここからは移転作業として、やるべきことが多くなるので、より一層スケジュールの管理が必要になります。
|現オフィスへの解約予告
事前にオフィスの解約予告時期を契約書で確認したら、移転日から逆算して解約を貸主に通知しましょう。解約を通知するとともに原状回復についても貸主と交渉・相談して施工箇所を確認する必要があるでしょう。
引き渡しの日にちを決めた後は、原状回復にかかる日数を計算することで、実際に移転先のオフィスへ荷物を移動するスケジュールも決めやすくなるでしょう。
|入居申込書の提出
現オフィスの解約通知とほぼ同時期に、事前に内覧や検討依頼書の提出を済ませたおいた移転先候補の中から実際に入居する物件を決める必要があります。
入居申込書を提出した後には、貸主側で入居企業の支払い能力などを見るために審査を実施します。主に申込書・登記簿謄本・会社概要・決算書の4点をもとに審査を行うため、事前に必要書類を用意しおくと良いでしょう。
貸主が個人の場合は、数日で審査完了しますが、大手の法人が貸主の場合、2週間程度の時間を要する場合もあるため、入居先を決めたら、なるべく早めに必要書類を提出するようにしましょう。
|契約書の押印
審査完了後、特に問題がなければ契約書の締結作業に移ります。移転先のオフィスの契約書を締結する際に幾つか注意するポイントがあります。以下のポイントは入念に確認し、必要あれば貸主との交渉を行いましょう。
・契約解除(借主が起こしてしまうと強制的に契約解除を請求される事項)
・違約金(何かしらの契約違反や解約の際の違約金についての事項)
・中途解約・解約予告(中途解約や解約予告の期限についての事項)
・保証金・敷金(入居時に預け入れる敷金についての事項)
・原状回復(原状回復の範囲についてなどが記された事項)
上記の項目については契約前の段階でも貸主と入念に交渉をした上で、締結時にはお互いの齟齬がないか、借主の意見は反映されたものになっているかをしっかり確認するようにしましょう。
|賃貸契約にかかわる費用の支払い
契約の締結に伴い様々な支払いが発生します。以降の工事代金等の支払いは相手先によって支払いの時期が異なるため記載致しませんが、賃貸契約に関わる費用についてはその一覧を以下に紹介します。
・敷金・保証金(敷金として賃料の数ヶ月分を貸主に預け入れる。退去時に返還)
・礼金(礼金として貸主に賃料の数ヶ月分を支払う。退去時の返還なし)
・保証会社利用料(家賃滞納の補償サービスに支払う費用。賃料の50~100%程度)
・仲介手数料(移転先の仲介を担当した不動産会社に支払う費用。賃料の1ヶ月分程度)
・火災保険料(オフィスの火災に対する保険料。ビルの管理会社が代理店を兼ねている場合もあり。)
以下の項目は一般的に賃貸契約の締結時に支払う、または預け入れる必要があるものです。詳しい金額や、その他の項目について知りたい方は以下の記事を参照してください。
5~4 ヶ月前にやるべきこと
|原状回復工事業者の選定
原状回復の工事は貸主の指定業者によって意行われることがほとんどですが、借主が指定できる場合もあります。
その際は工事スケジュールなども貸主、借主、工事業者の三社で相談しながら決める必要があるので、前もって準備するようにしましょう。
|内装工事業者の選定
近年では業務効率の向上効果のためだけでなく、社員の満足度向上のためにもオフィスの内装にこだわる企業が増えています。内装工事はレイアウト・デザイン・導線を決めるのに多くの時間を要するため、移転先が決定次第、担当してくれる内装工事業者を早めに選定する必要があります。
内装工事業者の選定自体も、時間がかかります。まず、施工・デザインをそれぞれ別の会社に依頼するのか、デザインから施工までを一括で依頼するのかを決め、その中で依頼できそうな業者いくつかに相見積もりをすることから始めましょう。
予算とデザインのクオリティ、工事期間を鑑みて内装工事を依頼する業者を選定しましょう。
|オフィスレイアウトの決定
内装工事業者が決まったら、オフィスのレイアウトを決めましょう。オフィスレイアウトを決めることで、必要な什器の数や現オフィスで廃棄する什器を決めることができるので、優先的に構想を練りましょう。
|什器の選定
オフィス環境を整えるにあたって、オフィスチェアやデスクの整備は必須です。新規開業ではなく、移転の場合、現オフィスからそのまま利用できる什器もあれば、廃棄したほうが良いものもあるでしょう。まずは、現オフィスから継続して使用できるもの、廃棄すべきものを選定するところから始めましょう。
廃棄する什器の選定が終わったら、移転先のオフィスレイアウトに合わせて、足りない什器があるかどうかを確認しましょう。内装工事業者に什器の造作を依頼する場合、工事業者にどのような什器をどこに配置したいかを事前に共有することで、サイズの間違いなどを防ぐことができるでしょう。
オフィス家具、特にオフィスチェアなどは高額なものもあり、納期がかなり先に指定される場合もあるので、レイアウトや内装のデザインが決まり次第、什器の種類や数量、発注先を確保しておくことが重要です。
3~2 ヶ月前にやるべきこと
この辺りの時期には移転先のオフィスの契約が始まっています。
|原状回復工事の打ち合わせ
原状回復工事は貸主の指定業者によって行われることが多いですが、その場合であっても、借主である私たちも工事スケジュールの確認や、現地調査の立ち会いなどは必要です。
原状回復工事のスケジュールによって、移転先オフィスへの引っ越しスケジュールも決まってくるため、工事業者、貸主とのコミュニケーションは非常に重要です。自社の移転スケジュールにも支障が出ないように綿密に打ち合わせするようにしましょう。
|什器の購入
先述した通り、現オフィスから継続して利用するオフィス什器と新たに購入する必要があるオフィス什器の選定が完了したら、実際にそれらを発注する必要があります。
2~3ヶ月前の発注となると、かなり早いと感じられるかもしれませんが、先述の通りオフィス什器の納期は、数ヶ月後になることも珍しくありません。
特に、費用を抑えるために中古品・新古品などを注文した場合は、数量を揃えるために全国の倉庫から配送される場合もあるため、より一層猶予を持って発注する必要があるでしょう。
|引っ越し業者の選定
オフィス移転には引越しが欠かせません。什器は全て新調するにしても、書類やOA機器などは、必ず移転先に移動する必要があります。その際に自社で引越しができる、ごく少量の場合を除いて、多くの場合は引越し業者を利用するかと思います。
オフィスの移転は、OA機器などの精密機械が多いこと、書類などの紙類が多いことから、一般的な家庭の引越しとは異なる部分が多いです。そのため、オフィス移転を専門にしている業者への相談をするのが良いでしょう。
|内装工事開始
移転先の契約開始とほぼ同時期に、内装工事を開始する必要があります。内装工事はスケルトンの状態からであればおおよそ1ヶ月〜1ヶ月半程度で着工から竣工まで完了しますが、引っ越しのスケジュールや什器の納期、業務の再開に支障が出ないように移転日の2ヶ月程度前から着工するスケジュールを組むのが良いでしょう。
また、内装材の色や実際の導線を確認するためにもこまめに現場に足を運ぶことがおすすめです。
|設備工事開始
内装工事と合わせて、設備工事も開始しましょう。内装業者が空調や照明の工事を担当する場合は多いですが、通信設備などについては専門のサービス提供事業者に工事を依頼する必要があります。
サービス提供事業者へ借主が直接工事を依頼する必要があるため、内装工事のスケジュールとの調整、内装工事業者とサービス提供事業者の両者とのコミュニケーションを自社で担当する必要があります。内装工事業者によっては、各サービス提供事業者との調整を委託できる場合もあるので確認してみましょう。
1 ヶ月前〜移転後にやるべきこと
|各種届出等の手続き
移転の1ヶ月前から移転後の間に公的機関に提出しなければならない書類が多くあります。
提出する必要がある書類を提出先と合わせていくつか紹介するので、漏れの無いように準備しましょう。
・労働保険名称・所在地変更届
提出先(農林・建設業等の場合):労災保険(労働基準監督署)、雇用保険(公共職業安定所)
提出先(それ以外の事業の場合):労災保険・雇用保険(労働基準監督署)
・本店移転登記申請書
提出先:法務局
・異動届出書・給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書
提出先:税務署
・事業開始等申告書
提出先:都道府県税事務所
・適用事業所所在地・名称変更(訂正)届
提出先:年金事務所
|取引先への連絡
公的機関への連絡と合わせて、取引先への移転のお知らせも忘れないようにしましょう。オフィス移転の情報を共有しないままだと、取引先がアポイント場所を旧事務所と勘違いしたり、書類などの郵送先を旧事務所のままにしてしまう可能性があるため、移転日より前に事前にオフィス移転のお知らせをするのが一般的です。
|原状回復工事、明け渡し
移転日の数週間前に原状回復工事が完了するようにスケジュールが組めたら、あとは貸主への明け渡しをして旧オフィスに関係する作業は終わりです。
明け渡しについては、原状回復工事の完了後、貸主(不動産管理会社)と日程を調整して現地でオフィスの状態を確認しながら行います。貸主の立ち合いのもと、原状回復が正しく行われているかを確認してもらい、後日正式に書面またはメールなどで連絡がきます。
|敷金・保証金の返還
旧オフィスの移転作業は明け渡しをもって終了ですが、貸主に預け入れていた敷金・保証金の返還はその数ヶ月先になることがほとんどです。原状回復費用に充当されるという契約の場合は原状回復工事完了後に費用の明細が共有されるので、その後に敷金が返還される流れとなります。
おおよそ一般的な賃貸オフィスの場合は、3〜6ヶ月後に返還されるケースが多いです。
|移転前オフィスとの契約終了
明け渡しの数日〜数週間後に特に問題がない場合、事前に取り決めておいた契約期間の満了をもって、旧オフィスとの契約終了となります。
オフィス移転のスケジュールをチェック
いかがでしたでしょうか?オフィスの移転は居住用のマンションの引っ越しなどとは違い、法人対法人の契約になるため、準備期間・作業期間が長くなります。急な移転の需要があったとしても、どれだけ急いでも全ての作業を完了するまでに半年以上かかることがほとんどです。このため、いかに効率よく、入念に計画を立て、その計画通りに進めることが重要になります。
オフィス移転は半年以上かかるものだ、ということについてご説明してきましたが、シェアオフィスを利用することで、それらの期間を短縮する方法もあります。
AND SPACEの運営するシェアオフィス「VENTURE MAFIA」の場合、旧オフィスの解約以外の作業については約1週間から〜1ヶ月で完了することがほとんどです。
VENTURE MAFIAの場合、Webで内覧予約をいただいてから最短で当日にご内覧いただけます。
また、内覧後最短で1週間以内に契約の締結と移転(利用開始)が可能なので、旧オフィスの契約終了が間近にもかかわらず移転先オフィスが決まっていない場合なども非常にスムーズに移転することができます。
オフィス移転をお考えの方は是非一度「VENTURE MAFIA」のご内覧にお越しください。